2026年7月11日、渋谷・BODY&SOULで開催された《Uniquely 5》を聴いてきました。
お目当てはベースの井上陽介さん。
以前ご縁あって聴いたベースの音の柔らかさと超絶技巧に惚れ込んで、また聴きたいと思っていた中で見つけたセッションでした。
会場のBODY&SOULは、2026年9月末での閉店が発表されている渋谷の老舗ジャズクラブです。この夜のことは、演奏とお店と、両方の記録として残しておきます。
《Uniquely 5》公演概要
日時:2026年7月11日(土)
開場18:30/1st 19:30/2nd 21:00
※2ステージ制・入れ替えなし
会場:BODY&SOUL(渋谷・公園通り)
ミュージックチャージ:5,390円(税込)
※飲食代別
出演者
- 近藤和彦(アルトサックス)
- 浜崎航(テナーサックス)
- 椎名豊(ピアノ)
- 井上陽介(ベース)
- 江藤良人(ドラムス)
BODY&SOULで聴く《Uniquely 5》
1974年創業、50年余りの歴史を持つ老舗ジャズクラブです。新宿に生まれ、六本木、青山と場所を変えながら日本のジャズシーンを見守り続け、2021年秋からは渋谷・公園通りに店を構えています。若手が腕を磨き、一流と呼ばれる演奏家たちが集う店として知られてきました。
そしてこのお店は、2026年9月末で閉店を迎えます。私はそのことを、ライブ中のMCで初めて知りました。
BODY&SOUL利用メモ
- 料金は「ミュージックチャージ+飲食代」
- 会計は、ライブ終了後にまとめて支払う形式
- 2ステージ制、入れ替えなし
- 「ドリンク+料理1品」または「1ステージにつきドリンク1杯」の注文が必要
- 予約は公式サイトのライブスケジュール欄から。予約なしの入店も可能だが、満席になると予約締切となるため、閉店前の混雑を考えると予約がおすすめ
- スケジュールは前々月末に翌々月分がまとめて公開
- 昼間はジャズ喫茶として営業(ランチタイム11:00〜15:00、昼ライブの日もあり)
昼のジャズ喫茶としての正式名は「Jazz Saloon and Cafe BODY&SOUL」。ライブは少し敷居が高いという方も、まず昼にお店の空気を味わってみるのもいいかもしれません。
ライブスケジュール・予約は公式サイトへ → BODY&SOUL公式サイト
「比類なき5人」のセッション
それぞれが自身のリーダーバンドを持つ実力派5人が、「このメンバーだからこそできる演奏」のために集まったユニットです。もともとはお店の常連さんが「この5人が一緒に演奏するところを聴いてみたい」と願って組まれたのが始まりだそうで、結成からおよそ10年。リーダーは置かず、各自が演奏したい曲を持ち寄る方式が続いています。お店はこの5人を「比類なき5人」と紹介していました。
互いの音を楽しむ、5人の演奏
まず、5人が実に楽しそうなのです。互いにリスペクトを持ちながら、次にどんなメロディが出てくるのかと楽しみ合っているのが、客席にも伝わってきます。
お目当ての井上さんのベースは、やはり人間業ではありませんでした。舞台と客席の距離が近いお店なので、前回は見えなかった指の動きまできっちり見えました。
…が、早すぎてよくわかりませんでした。
早すぎてよくわからないといえば、ドラムの江藤さんのスティックさばきも驚くほど多彩で、その繊細なリズムが手に取るように分かります。このスティックさばきについて、アルトサックスの近藤さんがMCで思わず「わけがわからない」と話していたのも印象的でした。仲間同士でも互いの演奏に驚きながら、曲をさらに面白くしていく空気が伝わってきます。
先端がほうきのようなスティックから柔らかい音が出ていて、後から調べたら「ブラシ」と言うそうです。ベースやピアノの柔らかい音色にそっと寄り添うような音で、印象に残っています。
ピアノ、アルトサックス、テナーサックスも、それぞれ技巧と情感にあふれていました。そのなかでも低音好きの私には、テナーの低音域のどっしりとした鳴りが特に好みでした。
「My Favorite Things」で登場したフルート
曲はドラムの江藤さんのオリジナルやスタンダードのほか、「サウンド・オブ・ミュージック」から「私のお気に入り(My Favorite Things)」も。コード進行は確かにあの曲なのに、メロディやリズムが次々と姿を変えていく、遊び心あふれるアレンジでした。
フルートがなぜかずっとテナーの足元に立てて置いてあり、何だろうと気になっていたのですが、2セット目中盤のここで満を持しての登場です。
ジャズでフルートが出るとは思ってもいなかったのですが、原曲の女性の声を彷彿とさせながらも鮮やかな音を奏でていました。
知っている曲だからこそ、さまざまな音色やリズムが変化していく過程まで楽しめた気がします。ジャズの曲をもう少し知っていれば、この夜をさらに深く楽しめたのだろうとも思います。
ライブと一緒に楽しんだ料理
トマトサラダのアンチョビ仕立てを頼みました。

湯剥きした大ぶりのトマトが皿の真ん中に鎮座して、まわりに葉物と生のマッシュルーム、アンチョビが散らしてあります。玉ねぎは辛味がしっかり抜いてあって食べやすく、マッシュルームの風味もほどよく、全体をアンチョビの塩気がきゅっと締めていました。
いろいろ書きましたが、一言で言うと、とても美味しかったです。
もう一皿は合鴨のグリル、バルサミコソース。低温調理してから皮を焼き上げているそうで、とにかく鴨が分厚くて食べ応えがあります。バルサミコの酸味とコクを、ほのかな甘みが引き立てていました。クリーミーなマッシュポテトが添えてあったのも、ひそかに嬉しいところです。
気づけば夢中で食べてしまい、写真を撮り忘れました。なので写真はありません。
閉店前にもう一度訪れたい
第一線で活躍する5人だからこそ生まれる、濃密なアンサンブルでした。一人ひとりの技術はもちろん、互いの音を聴き合い、アイコンタクトで瞬間ごとに音楽を組み上げていく。ライブならではの醍醐味を味わえる夜でした。
お目当てはあくまで井上さんのベースでしたが、帰り道に心に残ったのはお店でのひとときそのものでした。もっと早くあの空間に出会えればよかったです。せめて閉店の9月までに必ずまた行くつもりです。
